非常に興味深い記事がアップされていた。ブルーツリーマネージメント社 社長 岡本裕明氏のレポート。この方、カナダで不動産ビジネスをして25年の実績があり、自身のブログでは、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っているとのこと。
『日本人投資家は海外株がお好き:私が日本の商社を投資対象と考えない理由』が、今回のテーマ。「3月の日本の設定追加型株式投信の資金流入額は海外投信が4230億円、対して国内株投信は310億円」の書き出しで始まる。その差13倍以上の開き。
投資信託とは、「たくさんの投資家(お客)から集めたお金をまとめ、それを資金として、運用の専門家が投資・運用を行い、得た成果を投資家に分配する金融商品のこと。この投資信託は、最初の決められた期間しか購入できない「単位型投資信託」と、購入したい時にいつでも購入できる「追加型投資信託」に分類される。「追加型投資信託」は最近の投資信託の主流となっている。
今回のレポートでは、なぜ投資家が日本株を買わなくなったかということが書かれている。『日本の投資家が日本株を買わず、海外株を買う理由は何か、と言えばたった一言、日本株に魅力がないから』と氏は言う。
そして一連の文章の中で、PBR1倍(株価純資産倍率)割れの企業がプライム市場とスタンダード市場の過半数である1800社もあることを書いている。
PBRとは1株当たりの純資産に対し、その企業か何倍まで買われているかを表す指標のこと。
「PBR1倍割れ」とは基本的に、株主から提供された資本(株主資本)より、市場評価が低い状態を意味する。つまり、会社を解散したと仮定した場合、すべての資産を処分し、すべての負債を返済した後に、この資本部分(=純資産)が残ることになるので、資本は企業の解散価値とされる。PBR1倍割れという状態は、その企業が市場において解散価値以下に評価されていることになる。
「PBR1倍割れ」1800社という数字には、「ええっ!! そんなにあるの!!」と驚いてしまった。そこで「PBR1倍割れ 銘柄」で検索し、どんな銘柄が並んでいるのか調べてみた。
そこに並んだ企業名を見て、また正直驚いた。2023.4.21現在、低PBR上位10社の内、8社は銀行である。最も低いPBRは0.1倍。低PBR上位20社まで広げてみてもその数16社を銀行でが占める。
こうなると気になるのは銀行再編。2023.2.21付けDIAMOND online配信の記事では、『この1年強、地方銀行業界は統合ラッシュに沸いている。愛知銀行と中京銀行、ふくおかフィナンシャルグループと福岡中央銀行、横浜銀行と神奈川銀行……。中でも「1県1グループ化」パターンは、地銀再編の新たな潮流となりそう』と伝えている。
アメリカのシリコンバレー銀行の経営破綻、そしてスイスではスイスの金融最大手UBSが同2位のクレディ・スイス・グループに買収されるなど銀行関連の大きなニュースが聞かれた。
同時に、世界規模の金融危機も囁かれた。
さて、日本は今後どうなっていくのであろうか。銀行を取り巻く状況は厳しい状況にあると思う。今後の動きを注意深く見守っていきたい。