我が国日本の最重要課題の1つである「少子化対策」。今朝、これの財源に関するニュースが配信されていた。
『財源、社会保険料2026年度にも引き上げ…増税は「理解得にくい」と見送り』のタイトル。
記事の概略は以下のとおり。
○政府は22日、「次元の異なる少子化対策」について話し合う「こども未来戦略会議」の4回目の会合を首相官邸で開き、財源確保策の議論を行い、首相は「大前提として、消費税を含めた新たな税負担は考えていない」と表明。
○政府は2026年度にも社会保険料を引き上げる方向で調整。
○社会保険料の引き上げでは、主に医療保険料を対象にする案が有力。若年層から高齢者まで幅広い世代や企業から広く薄く徴収でき、既存の仕組みを活用できるため。
少子化対策は、待ったなしの状況にあり、「子供を産み育てることに不安がなく、安心と喜びの中で子育てができること」が、その解決策の根幹にあるものだと思う。
そのためにお金、環境、制度等々、整え直さなければならないものが多いことは理解できる。そのために必要な財源をどうするか。そして出された答えが、前述の通りの「社会保険料の引き上げ」である。
「社会保険」とは、病気・ケガ・障害・死亡などの生活上のリスクを社会全体で対応しようという考えのもと作られたものである。
つまり病気・ケガ・障害・死亡などの生活上のリスクは誰もが抱えており、これらのリスクをすべて避けて生きていくことは困難であり、そこで、これらの生活上のリスクを社会全体で対応しようという考えのもと作られたのが社会保険になる。
基本的仕組みは、
①リスクにそなえて国民があらかじめお金(保険料)を出し合う。
②リスクに見舞われたひとに必要なお金やサービスが保険から支給される。
そしてこの社会保険は、つぎの5つで構成されている。
①医療保険 年齢に関係なく日本に住んでいる全ての人が加入
【健康保険】 サラリーマンまたはその家族などが加入
【共済組合】 公務員またはその家族などが加入する
【後期高齢者医療制度】 75歳以上になると加入していた医療保険から自動的に移行する
【 国民健康保険】 フリーランス・スポーツ選手・アーティスト・タレント・無業者・個人事業主など上記3つ以外の方が加入
②年金保険 保険料を支払い年金保険に加入することで、65歳から老後の年金が毎年もらえるもの。20歳以上60歳未満のひとが加入
③介護保険 介護が必要となり、申請後認定された後、サービスが利用可能となる。40歳以上の人は全員加入。40〜64歳の方は医療保険に上乗せされる。
④労災保険 労働者が仕事で怪我や病気、死亡した時に保険給付される制度。保険料は事業主が全額負担
⑤雇用保険 失業者の支援などのためにお金を支給してくれるもの。1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがある場合、雇用保険に加入することになる。
今回出された案は、この中の「医療保険」の税率を上げ対応していこうとするもの。
この医療保険を含めた、我が国の「社会保険料」は、右肩上がりで年々重くなっていっている。つまり手取り額が減っていっているということを意味する。
1970年度 24.3%
1988年度 37.1%
2013年度 初めて40%を突破
2021年度 過去最高の48.1%
団塊の世代が75歳以上になる2025年以降は、更に社会保障費は膨張すると予測されている。
にもかかわらず、少子化対策として社会保険料で対応していこうとしている国の政治。
「次元の異なる少子化対策」の行き着く先がここであろうか。
この政策で、子供を産み育てることへの不安が払拭されるのだろうか。
そして、「子供を産み、さらに増やそうとする意識」を育んでいくことにつながるのだろうか。
4月3日、1月6日のブログで書いた『税制n乗n分方式』は、なぜ早々に議題から消えていったのだろうか‥‥
今朝、配信されたニュースを見て、愕然とし、悲しくなると同時に、我が国日本の将来への明るい展望が閉ざされた思いがした。