ファンディの日々雑感。

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いま50歳の人の10年後・20年後 〜2040年のリアル〜

 PHP研究所が発行している月刊紙『THE 21』。

 6月号の特集は、「いま50歳の人の10年後・20年後 〜2040年のリアル〜」

 同社のホームページに、今月号の見所として、『今の50歳前後は、「人口が多いのに、自分たちを支えてくれる若者は少ない」という世代。将来の年金・介護・医療に不安を感じている人も多いでしょう。そこで、2040年頃までに日本人の仕事・暮らしに起こる変化、中でもこの世代にどんな未来が待ち受けているかを専門家に取材。あわせて「今からやっておくべきこと」も聞きました』とある。

 

 この中に、野口悠紀雄氏の特集ページが載っていた。氏の履歴には、『日本の経済学者、元大蔵官僚。研究分野は、日本経済論・ファイナンス理論。一橋大学名誉教授。 埼玉大学助教授、一橋大学教授、東京大学教授、青山学院大学教授、スタンフォード大学客員教授早稲田大学教授、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問などを歴任。』とある。日本経済・社会保障に精通している第一人者のお一人。著書も多数あり、『超、○○○』シリーズの中の、『超整理法』はミリオンセラーとなり大きな話題にもなった。

 

 今回の特集記事での、氏の記事のタイトルは「2040年の超高齢化で生き残るたった一つの考え方」となっている。人口減少がもたらす様々な状況がリアルに述べられている。

○2018年に政府が作成した『2040年を見据えた社会保障の将来見通し』では、18年度は20.8%、40年度は23.5~23.7%と予測。

○一方、人口変化については、65歳以上がおよそ1割増えるのに対し、15歳~64歳の労働人口は、0.795と約2割減。

○この結果、一人当たりの負担は、低く見積もっても42%増。

外国人労働者についても、国際的な賃金水準が低い日本は、就労先として選ばれない国になりつつある。

 

 この結果として、氏は、「地獄が待っている」と言っても過言ではない局面にいるという。

 

 政府では、少子化対策が検討されている真只中にあるが、このことについても危機感を述べている。

○仮に今年から出生率が上がっても、2040年の労働人口が増えるわけではない。

○出生後約20年間は社会の負担はむしろ増える。

 

 負担増の打開策として「給付を減らす」という選択肢についても述べている。

公的年金の支給開始加齢が65歳まで引き上げられたのはその一例。しかしこれも早晩限界が来る。第2次ベビーブームの人たちが65歳になる頃、受給開始年齢は引き揚げられるかもしれない。

 また別の方法として、「医療給付の対象を減らす」「医療保険の自己負担率を増やす」などの手が考えられるが、「大きな期待はできない」という。

 更には、『政府があてにならないのであれば、ビジネスパーソンは「会社」に期待したくなる。70歳まで雇用を保障することはあり得るが、実際には、わずかばかりの給与を出すだけでお茶を濁される公算は大である。』という。

 

 その結果として、「自分で貯めるしかない」と続き、「予想より厚めに備えなければならない」という。しかし、このことについても、政府から出されたNISA活用の問題点を指摘している。

 

 現状のまとめとして、『このような大きな問題が、21年の衆院選と22年の参院選で、いずれも社会保障制度の論議がなされていない。しかし、これは政治家だけの問題ではなく、有権者がこの問題から目を逸らし続けてはないか。自分たちの将来を左右する重大事が、選挙の焦点にならないことに怒らない、違和感さえもたない、解決には痛みを伴うという認識もない。その結果、「地獄」は確実に実現してしまう。現実と向き合わなければ取り返しのつかないことになる』と警笛を鳴らしている。

 

 以降のページでは、そのためにどう変わっていかなければならないのかについて、氏の考えが具体的に述べられている。

 

 前回のブログで、少子化対策の財源に社会保障費を当てることが検討されていることを書いた。これが政策決定されれば、最も負担増になるのは、まさしく子育て世代になるようである。この特集記事が書かれたのが1ヶ月以上前であれば、この少子化対策の財源のことについては出ていなかったはずなので、状況は更に悪化の方向に進んでいることが予想される。

 

 将来に向けての資産形成のあり方がもっともっと論議されていくべくではないだろうか。

 

 そのためにも政治、経済、国際情勢等々、様々な情報をキャッチしていこうとする意識の大切さを実感する。

 今月号のTHE21、見所満載である。

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