参議院選挙が終わってから一月余りが過ぎた。この選挙の結果、新興政党の躍進などもあり国会における与野党の勢力に大きな変化が生じた。政府自民党では選挙結果の責任を問う動きの中で、党内がガタガタしているようである。その自民党、8月8日に両議員総会が開催され、ここで「臨時総裁選」実施の要求確認の申し入れがあり、今後これの確認の検討を進めることが表明されている。
今回の参院選では、各党からいろいろな公約が出されていた。それらの実現に国民は大きな期待を寄せていると思う。この時期は国会議員も夏休みなのだろうか。石破首相の「退陣」「続投」に揺れる自民党以外のニュースはあまり聞こえてこない。いずれにせよ、今後の政局は石破首相の動向が大きな鍵になることは間違いないようである。
さて、政治関係の動画もよくみることから関連動画が勝手に飛び込んでくる。フェイク的なものや都合のいい切り抜きなども散見され、見る側にも慎重さが求められる。
そのような中で「おおっ!!」と唸らされた動画があった。
『同日同じ質問でこんなに違うのか』という言葉とテロップが流れ、動画は始まる。登場するのは国民民主党の榛葉幹事長と立憲民主党の野田代表。それぞれの党記者会見での記者とのやりとりである。障害者福祉に関するもので、「就労支援A型」の報酬改定が行われ、多くの事業所が経営困難に陥っており、またこれを利用していた障害者が多数失業している現状に対して党としてどう向き合っていくかという質問への回答である。この分野に関わる者であれば切実な問題であるが、それ以外のものにとってはほとんど馴染みのない問題かもしれない。
ちなみに、『就労継続支援A型』とは、一般企業での就労が難しい障害や難病のある方が、雇用契約を結び、支援を受けながら働くことができる福祉サービスのことをいう。A型事業所では、利用者は給与を受け取りながら、就労に必要な知識やスキルを習得する訓練を受けることができるというもの。
これに対して『就労継続支援B型』というものがある。この違いは、A型は「一般企業での雇用が困難だが、雇用契約に基づく就労が可能な人」が対象であり、事業者と雇用契約を結び、最低賃金以上の給与が支払われるが、B型は「一般企業や雇用契約に基づく就労が困難な人」が対象で、雇用契約は結ばず、作業に応じた「工賃」が支払われるという点になる。
ここでいう「雇用契約」とは、労働者が使用者(会社や事業主)に対して労働を提供し、使用者がその労働に対して報酬を支払うことを約束する契約のことをいう。このことは民法で定義されており、労働者は労働基準法や労働契約法によって保護されることになる。つまり簡単に言えば最低賃金が保障される点が両者の大きな違いになる。
今回の質問は、この『就労継続支援A型』の制度についてものであった。このサービスを受ける当事者の方々にとっては、切実な問題であり、制度改訂で生じた現状を問うたものであった。
これに対する榛葉幹事長の答弁には、正直驚かされてしまった。このようなことまでも知っているのかと、氏の現状認識の幅の広さと奥行きの深さにただただ感服させられてしまった。答弁から党としてこのことにしっかりと向き合っているということも伝わってきた。
『就労継続支援A型』を利用している方の数は、国民全体からするとごく少数で、選挙を考えれば票としての旨みはないかもしれない。しかし、このごく少数のこれら社会的弱者と言われる方々にもしっかりと目を向け、大切にしている党としての姿勢には、大きな感動と深い感銘を感じさせられた。このような党に、そしてこのような方に国の政治の舵取りを行ってほしいと、この動画を見つつ感じさせられてしまった。