先日、落語独演会にいった。
特に落語に興味があるということはないのだが、立川志の輔さんの落語だけは、なぜか好きでずっと以前、よくYouTubeで聴いていた時期があった。このようなこともあり生でご本人の落語が聞けるのであれば、是非とも聴いてみたいとチケットを購入した次第である。
会場となる市民ホール大ホールは1300人ほどの収容力。開場11時30分、開演12時15分となっている。全席自由席。であれば早く行けは前方の席を確保できる。早すぎても時間がもったいないし、何時に行けば良いのか結構考えてしまった。そして出した答えが開場30分に並ぶというもの。
車を走らせ会場の市民センターを目指す。なんと隣接の駐車場にはたくさんの車が既に駐車しており、センター入り口付近は結構な数の人の姿があるではないか。ちょっと焦ってしまう。入場口のところで整理券を配布している。混雑を避けるためだと思うが、受け取った整理券には209の文字。「おおっ、こんなにも人が多いのか‥‥」かなり読みが外れてしまった。開場15分前ごろから入り口付近に人が集まりだし、かなりの数でザワザワし出し出す。整理券が配られてはいるものの、列にはなっておらず、群衆化しており、最初に示されたボードには、「最初に200番までの方の入場」とあるで、ますます入り口付近は混乱してしまい、「わかるように説明してください!!」「声が聞こえませ〜ん!!」などの声があちこちから飛び出している。悪意はないのだからもう少し大めにみても良いのになぁと思いつつ、開場開始を待つ。そして200番までの第一陣が入場した後は、その他全員というような大雑把な括りで入場した。既に200人以上が入っているので、前方はほぼほぼ席が埋まっている。15列目あたりに座ったのだが、前の方をよくみるとポツポツ空席があるではないか。結局8列目の中央付近の場所に座ることができた。噺家さんと目線が同じ高さになりそうなベストな場所である。「志の輔さんと、絶対目が合うな、うふふ‥」と当然思い、にんまりしてしまった。開場整理の方々が懸命に観客を誘導している。なんせ、全席自由。好き勝手に座るのでポツポツと席が空いているため、そこに溢れた人を誘導している。開演近い時間になるとなんと1300の席はほとんど埋まっているではないか。これには正直驚いてしまった。小さな地方都市で1300の席を埋め切るとは、凄いことだと志の輔さんをはじめ演者の方々の人気に脱帽してしまう。
さて、いよいよ開演。先ずは御三方続けて持ちネタが披露される。志の大さんが最初。志の輔さんの8番弟子。リズミカルな語り口で聴衆を魅了する。次は、プログラムでは歌春さんになっていたのだが、出てきたのは志の輔さんだった。歌春さんが当地の出身で、かつ年長であることから志の輔さんの計らいで順を変えたようである。ご両名とも落語会の重鎮。さすがの語りで、聴衆がぐいぐい引き込まれていく。瞬く間に前半部が終わり「中入り」となる。15分の休憩の後、いよいよ改めての立川志の輔による噺となる。演目は、『新・八五郎出世』とある。調べてみるとこの噺は、『志の輔落語の1つの頂点。古典名作「八五郎出世(妾馬)の志の輔改訂バージョン」とある。
とにかく凄かった。志の輔さんの話に引き込まれていくのがわかる。リズミカルで、殿様に嫁いだ妹がお世継ぎを産んだことから引き起こされる人間模様を、母親、お殿様、八五郎、大家、家老たちになり変わり演じていく。面白いだけではなく、話の中に人間の情が溢れており、笑い、聞き入り、そしてまた笑いと、噺は進んでいく。噺の最終盤、八五郎の言葉に感極まり、つい涙がこぼれてしまった。近くに座っていた人たちも目元を押さえている。落語を聞いて涙がこぼれるのは初めてだった。立川志の輔師匠の語りの素晴らしさを目の当たりにした。
余韻に浸りながら会場を出た。そとは暖かな日差しで気持ち良い風が吹いていた。良い時間を過ごさせていただいた。感謝の気持ちで一杯になった。