ついにというか、いよいよというのか、EU諸国でのガソリン車販売の禁止の正式決定。日本メーカーが得意とするハイブリッド車等も対象とある。
アメリカ環境保護庁の燃費評価で最も優れたハイブリット車ベスト10台に、韓国ヒョンテ(1位・3位・7位)、トヨタ(2位・4位・10位)、ホンダ(4位・9位)、韓国キア(8位)が選ばれている。
製品のライフサイクル(生産から廃棄までのプロセス)を考えた場合、HVやPHVの温室効果ガス排出量はEVやFCVに劣らないどころか、むしろ優れるとも言われている。こうした中での今回の決定である。
日本はHVの普及で温室効果ガスの削減を志向し、一定の成果をあげているものの、EV化そのものは世界的なメガトレンド。この中で主導権を握るという観点から、欧州委員会は2035年までに域内市場からHVやPHVを排除する方針を示したといわれている。
しかし、EU加盟国のこの決定への反応には開きがあるというのが実情のようである。
フランスでは、ルノーのコンパクトEV「ゾエ(ZOE)」が好調なこともあり、2035年以降もPHVを新車として登録できるよう求めている。また、所得水準が低い中東欧諸国の場合、価格が高いEVの普及が容易には見通せない状況にもある。
更には、EVの場合、充電ポイントの整備が必要不可欠となるが、それも財政に余力がない中東欧諸国では進んでいない。EU復興基金からの財政支援が見込めても、それだけでは充電ポイントの整備など進まないという現状もあるようである。こうしたことから自動車産業のロビー団体からは「充電インフラの不足を考慮に入れていない」として、反発の声も出ているとのこと。
さて、今回の決定に対し、国産メーカーはどう対応していくのか。今回のEUの決定は2035年まで継続していくのか。今後の動きには目が離せない。
この問題は、単に自動車業界だけの問題ではなく、日本が抱えるエネルギー政策全般に関係してくるものだと思う。特定業界の利益や損得の視点ではなく、日本の将来という大きな視点で、今回EUが下した決定に向き合っていってほしいと強く願う。