ファンディの日々雑感。

日々の生活の中で感じたことを諸々書き綴っています!!

『「生活保護受給者」の半数は65歳以上の高齢者』のニュースから考えたこと

 今日の幻冬舎OLD ONLINEで配信された記事の中の1つから、いろいろな学びを得た。

 タイトルは、『「生活保護受給者」の半数は65歳以上の高齢者…老後に期待していた「団塊の世代」の残酷すぎる現実』とある。

 『老後は安泰といわれていた定団塊の世代が年を迎えた現在、蓋を開けてみると「生活保護受給者の半数は65歳以上の高齢世帯」という非常に残酷な現実が待っていた。』の書き出しで始まる。

 団塊の世代は、1947年~1949年生まれで今年76歳74歳になる年代。現役時代に懸命に働き、日本経済の発展に大きく貢献した世代でもある

 

 ずっと以前、退職後、海外の物価の安い国で悠々自適に生活している人たちが様々に紹介されていたことを思い出す。物価の安さが退職金と貯蓄、そして豊かな年金がそれを可能にしていた。それと比較した時、この記事にある現実との相違に時代の隔たりを感じてしまう。

 

 年金月20万円でも、生活は苦しいという現実。公的年金で将来は安泰と思われて、貯蓄もほとんどしていないという人もいたのかもしれないと筆者は言う。現在の生活保護世帯のうち65歳以上の高齢世帯は、生活保護受給者の半数を超えている状態にある。

 2021年の総務省の家計調査(家計収支編)では、65歳以上世帯の収入は約20万円、支出は約22万円。2022年10月の消費者物価指数は2020年を100としたとき、103.7となっている。2011年と比べても約9.7%の物価の上昇。生活はますます厳しくなっていくことが想像できる。

 生命保険文化センターの「老後にゆとりある生活を送るのにいくらくらいの費用が必要か」という調査結果は、平均で36.1万円とある。現役世代のときに、収入が多かった人は生活水準が高い傾向があり、支出の多い生活を続けていると、年金生活になってから生活水準を落とそうと思っても、急に生活水準を落とすことは難しいといわれる。そのことの現れかもしれない。

 

 そして生活を支える年金制度に話は続く。ここでは「物価スライド」から「マクロ経済スライド」となった年金制度について詳しく述べられている。

 記事では、年金だけでは生活が厳しくなってきている理由を、『物価の上昇だけではなく、現在の年金制度にもある』という。

 日本の年金制度は、2005年4月までは「物価スライド」が採用されていた。「物価スライド」は、物価の変動に連動して年金額が調整されるというもの。しかし、2004年の年金改正により、現在採用されている「マクロ経済スライド」と変わった。100年安心の年金制度として長期的な存続を目的に改正され、この中にこの「マクロ経済スライド」も含まれている。

 「マクロ経済スライド」は、日本人の長寿化や年金加入者の変動を考えて、調整を行うという制度で、物価の変動や賃金の変動に連動して年金額の調整を行ったあと、長寿化や年金加入者数の調整を行うスライド調整率をかけて、年金額を決定していく。この仕組みにより、物価が上昇しても年金額が物価と同じように増えずに、増える額が抑えられることになった。つまり制度は残るが受給できる金額は減り続けるという仕組みである。

 

 そして記事では、この状況の中でできうる対策が書かれている。結論は、『老後まで時間がある人はiDeCo、ない人は年金の繰り下げ受給を検討』とある。記事ではiDeCoの制度改正に伴うメリットとして、「受け取り期間の延長」「掛け金の所得控除」「運用益の非課税」を伝えている。iDeCoについては10月23日のブログでメリットとデメリットについて詳しく述べた。デメリットを考えると無条件には薦められないというのが正直な感想である。

 そしてもう一つの「時間がない人は年金の繰り下げ受給」については、そもそも預貯金では不足するから年金に頼っているのである。であれば繰下げは考えにくいのではないか。「繰り下げ受給」は1ヵ月繰り下げるごとに年金額が0.7%増える。75歳まで最大120ヵ月繰り下げた場合は、84%増やすことが可能。『公的年金の繰り下げ受給』は、当面年金に頼らなくてもやっていける人がさらに得する仕組みに思えてならない。この「繰下げ受給」については、12月26日のブログで取り上げた。ぜひこちらも読んでいただけたらと思う。

 

 記事はまとめとして、『昔は年金で悠々老後生活が送られると考える人も多かった時代がありました。それは公的年金も高い水準であったり、企業年金確定給付年金であったりした時代でした。しかし、現在では公的年金の水準は物価に比べ低くなっていることで、年金だけでは暮らすことが難しくなってきています。さらに年金制度のマクロ経済スライドにより、今後も世の中の物価に比べ年金の受給水準は減少してしまいます。まだ老後といわれるまでに時間のある人は、早いうちから老後資金の準備を始める必要があり、もう準備する時間があまりないという人は、公的年金の繰り下げ受給も考えておく必要があるのかもしれません』という。

 

 現状の厳しさはよく理解できたが、それに対する対策はなんとも寂しい提案だった。最後はこう締め括られている。

『老後の生活は、体力の衰えもありますので、やはり早いうちから計画的に準備しておくことをお勧めします』

 このことに全く異論はない。対策は早ければ早いほど有利である。

 そしてくどいようで恐縮だが、ぜひ「投資マンション経営が気になったら読む本」の一読をお勧めしたい。

 資産形成の選択肢は多ければ多いほど考え方に余裕が生まれ、相乗効果として新たな知恵が生まれてくる。