ファンディの日々雑感。

日々の生活の中で感じたことを諸々書き綴っています!!

投資信託は海外が主流。PBR1倍以下上位10社中銀行が8社!!

 非常に興味深い記事がアップされていた。ブルーツリーマネージメント社 社長 岡本裕明氏のレポート。この方、カナダで不動産ビジネスをして25年の実績があり、自身のブログでは、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っているとのこと。

 『日本人投資家は海外株がお好き:私が日本の商社を投資対象と考えない理由』が、今回のテーマ。「3月の日本の設定追加型株式投信の資金流入額は海外投信が4230億円、対して国内株投信は310億円」の書き出しで始まる。その差13倍以上の開き。

 

   投資信託とは、「たくさんの投資家(お客)から集めたお金をまとめ、それを資金として、運用の専門家が投資・運用を行い、得た成果を投資家に分配する金融商品のこと。この投資信託は、最初の決められた期間しか購入できない「単位型投資信託」と、購入したい時にいつでも購入できる「追加型投資信託」に分類される。「追加型投資信託」は最近の投資信託の主流となっている。

 

   今回のレポートでは、なぜ投資家が日本株を買わなくなったかということが書かれている。『日本の投資家が日本株を買わず、海外株を買う理由は何か、と言えばたった一言、日本株に魅力がないから』と氏は言う。

 そして一連の文章の中で、PBR1倍(株価純資産倍率)割れの企業がプライム市場とスタンダード市場の過半数である1800社もあることを書いている。

 

 PBRとは1株当たりの純資産に対し、その企業か何倍まで買われているかを表す指標のこと。    

「PBR1倍割れ」とは基本的に、株主から提供された資本(株主資本)より、市場評価が低い状態を意味する。つまり、会社を解散したと仮定した場合、すべての資産を処分し、すべての負債を返済した後に、この資本部分(=純資産)が残ることになるので、資本は企業の解散価値とされる。PBR1倍割れという状態は、その企業が市場において解散価値以下に評価されていることになる。

 

 「PBR1倍割れ」1800社という数字には、「ええっ!! そんなにあるの!!」と驚いてしまった。そこで「PBR1倍割れ 銘柄」で検索し、どんな銘柄が並んでいるのか調べてみた。

 そこに並んだ企業名を見て、また正直驚いた。2023.4.21現在、低PBR上位10社の内、8社は銀行である。最も低いPBRは0.1倍。低PBR上位20社まで広げてみてもその数16社を銀行でが占める。

 こうなると気になるのは銀行再編。2023.2.21付けDIAMOND online配信の記事では、『この1年強、地方銀行業界は統合ラッシュに沸いている。愛知銀行中京銀行ふくおかフィナンシャルグループ福岡中央銀行横浜銀行神奈川銀行……。中でも「1県1グループ化」パターンは、地銀再編の新たな潮流となりそう』と伝えている。

 

 アメリカのシリコンバレー銀行の経営破綻、そしてスイスではスイスの金融最大手UBSが同2位のクレディ・スイス・グループに買収されるなど銀行関連の大きなニュースが聞かれた。

 同時に、世界規模の金融危機も囁かれた。

 

 さて、日本は今後どうなっていくのであろうか。銀行を取り巻く状況は厳しい状況にあると思う。今後の動きを注意深く見守っていきたい。

 

 

 

消費者物価3.0%上昇とインバウンドへの期待、しかし現実は‥‥ 

 TBS NEWS DIGから「速報」として配信された。

  『22年度平均の消費者物価3.0%上昇…41年ぶりの歴史的伸び率に』のタイトル。

 2022年度平均の全国の消費者物価指数が前の年度より3.0%上昇したという内容。1981年度以来、41年ぶりの歴史的な上昇幅と伝えている。

 具体的には、原油価格の高騰により、都市ガス代24.4%、電気代15.3%、また食料品も原材料高や円安などの影響で、主なものとして食用油が34.1%、ハンバーガー14.6%、食パン11.4%上昇したという。物価上昇は今後も続く見込みで、帝国データバンクによると、今年の食品値上げは去年に続いて2万品目を超えているとのこと。試算では、2021年度と比べた家計負担は2022年度におよそ10万円増え、今年度はさらに5万円増える見通しという。

 日本経済の復調はいつになるのか。いやそれよりも回復すること自体ありえるのか‥‥。

 なかなか明るい展望が持ちにくい中で、望みの綱はインバウンド消費であろうか。

 観光局が発表した3月の訪日外国人数は181万7,500人で、コロナ前の2019年と比べて65.8パーセントまで回復したとのこと。最も多かったのが韓国からの観光客の46万6,800人でコロナ前の8割近くまで回復したという。ただ中国からの観光客は、日本への団体旅行制限が解かれておらずコロナ前のおよそ1割の7万5,700人にとどまっているとのこと。後は、中国からの訪日解禁を待つばかりか。

 

 しかし、この海外からの観光客受け入れで気になるニュースも配信されている。

 回復度合いが急すぎて受け入れ態勢の準備が整っていないという。特に問題なのは入国審査などの待ち時間。入国までに3時間以上かかったとの話もあり、それだけで日本旅行が嫌になってしまうと記事は伝えている。

 このことについては以下の記事にその理由が書かれてある。機能不全というと言い過ぎであろうか。しかし現場は深刻である。 

news.1242.com

 コロナ・ウクライナ紛争・人口減少・低賃金・物価高等々で、今、日本国内の様々なものが軋みはじめているように感じる。慣例の中でスムーズに動いていたものが、危機的状況に陥り、臨機応変な対応が不可欠になった時、既得権益を超えた柔軟な対応ができず、ますます対応が後手に回っているように見える。

 

 今、統一地方選挙の真只中である。立候補者の名前を連呼しながら選挙カーが街中を走り回っている。相変わらずの光景である。

 

 

富士山登山と実川欣伸

 春本番の、気持ちの良い穏やかな日が続いている。

 いよいよアウトドアのベストシーズンに入る。

 この季節だと、新緑の中の登山を考えてしまう。10年ほど前、富士山登山をしてから、登山の魅力を知り、以後、槍ヶ岳や大山など、九州以外の山にも登った。外国の山にも魅力を感じる。日本一の高さは制覇した。次は各大陸一を制覇してみたいという思いが募る。その一番手は、キリマンジャロ。特に難しい技術は必要ないようである。高度順応力と体力、そして資金力‥‥(汗)。

 しかし、その前にもう一度富士山にトライしたい。前回は、初めてだったこともあり無我夢中だったことを思い出す。日本一の高さの山という知識しかなく、また2000mを超える山の登山経験もなかった。先ずは、富士山登山の情報収集から始めた。時期、どこからどんなふうに、装備品、3000mを超える登山の留意点等々。コースのイメージはYouTubeからおおよそ把握できた。登るまでの計画の時も含めて、富士山登山は懐かしく楽しい思い出である。

 

 「富士山」の名前と共に思い出す人の名前がある。『実川欣伸』という人。この人を知ったのは、新聞記事を通してである。富士山登頂1000回達成の記事であった。記事には1000回達成までの足取りも記されてあった。1985年に42歳で富士登山を始め、以来年間数回から数十回登ってきたが、退職を機に「誰もやっていないことをやろう」と、登山回数の記録作りに挑戦し始めたとのこと。2008年248回、2009年203回と回数を重ね、2010年に1000回目の登頂を達成した。2011年に1111回、そして2014年には、1673回に到達し、日本記録も樹立している。とにかく凄い人である。『1日4往復』『不眠不休での富士山4登山道連続登頂』『2日半眠らずに8回登頂』『日本橋を始点にした登頂』『下田を始点に伊豆を横断する登頂』なども達成している。

 実川さんは、富士山だけではなく、南極大陸最高峰はじめ6大陸の最高峰も制覇している。現在は、70歳を超え12月から4月のオフシーズンに毎日1万歩歩き、家に設置したエアロバイクをこぐなどのトレーニングを行っているという。

 

 氏の富士山登山のことは、『富士山に千回登りました』の書名で出版されている。もちろん購入した。あまりの凄さに口をあんぐりしながら読んだことを思い出す。

 

 この記事は、愛用の手帳に綴じて思い出せば読んでいた。あれだけ大変だった富士山登山を年間248回も登頂しているのである。風雨が強く、また大雪などで登れない日もあることを考えれば、登れる日はほぼ毎日登っていたことになる。「疲れ」「めんどくささ」「だるさ」も当然あるだろう。しかしそれらを払い除け、1歩めを踏み出す精神力の強さ。自分の中の「疲れ」「めんどくささ」「だるさ」に左右される精神力の弱さを省みるためのツールとしていた。

 久しぶりに『実川欣伸』の名前をネットで検索してみた。ご健在で今も記録を更新しているようだった。

 

富士山への2回目の挑戦をぜひともやりたいと気持ちが昂ってきた!!

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出生率0.78 韓国の少子化対策の失敗・・・

 興味深い配信記事を見つけた。

 『出生率0.78 韓国の少子化対策はなぜ失敗したのか』のタイトル。

 前回に続いて少子化問題関連について書く。

 

 少子化が深刻な問題となっている我が国日本。テスラ社のイーロン・マスク氏に「このままいけば日本は消滅する」と言われたことはこのブログでも幾度となく書いた。

 2020年  女性の半数が50歳超え

 2024年  3人に1人が65歳以上の高齢者

 2033年  全国の住宅の3分の1が空き家

 2040年  自治体の半数が消滅

 2100,年  日本の人口は5971万人

 前回も書いた将来予測である。

 

 現在の日本の特殊出生率は、2022年が1.34人。ところがお隣韓国は、なんとこの数字を大きく上回る0.78人!!

 

 当然韓国政府もこの状況を深刻に受け止め、様々な手を打ってきているとのこと。しかし、莫大な予算を投じてきたもののその成果が現れず、極端な少子化は進む一方だという。

 この0.78という数字、OECD諸国の中で出生率が1を下回っているのは韓国だけとのこと。つまり世界でも類を見ないスピードで少子化と高齢化が進んでいるということである。

 

 この理由がいくつか挙げられている。

○結婚する人が減ってきたことが最大の要因。未婚率は、2020年には男性は50.8%と半数を超え女性も33.6%。

○平均初婚年齢は男性が33.4歳、女性が31.1歳(2021)といずれも30歳を超えており、日本より晩婚化が進んでいる。

○結婚して子どもを設け育てることへの不安の増大。例えば、不動産価格の高騰によりソウルのマンションの平均価格は日本円で1億円超え。


 このような状況に対して政府も対策を講じてきたという。

ノ・ムヒョン盧武鉉)政権では、女性が出産後も働き続けられるよう「短時間勤務制度」を導入、さらに国際結婚家庭への韓国語教育や育児支援を行う「多文化家族支援センター」を全国各地へ設置。
○イ・ミョンバク(李明博)政権では、一定規模以上の企業を対象に「保育施設の設置の義務化」。
○パク・クネ(朴槿惠)政権は、0歳児から5歳児を対象にした「無償保育」の所得制限撤廃。
ムン・ジェイン文在寅)政権では、男性の育児参加の促進に力点を置く。

○去年発足したユン・ソンニョル政権も、低家賃の公営住宅の建設や移民の積極的受け入れを掲げる。

 

 2006年からこれまでに韓国政府が少子化対策に費やした予算は、実に280兆ウォン、日本円にしておよそ28兆円にのぼる。

 

 

 それにも関わらず韓国の少子化は進む一方とのこと。

 この背景には、子を産み育てる世代の『韓国女性の多くが経験する“生きづらさ”』が理由にあるという。ある調査では64%が「結婚に負担を感じる」、77.2%が「子どもがいると就業やキャリアに制約を受ける」と答えているとのこと。(韓国女性政策研究2019)

 そしてこのことは女性だけの問題ではないという。

 「3放世代」という言葉があるとのこと。これは「恋愛」「結婚」「出産」の3つを放棄せざるを得ない若者を指す言葉で、更には「就職」と「マイホーム」を加えた「5放世代」という言葉も誕生したという。

 

 韓国社会に詳しい専門家は「家計は男性が支え、家事は女性が担う」「働く女性を労働力としてしか見做さない」という古い価値観が影響しているという。その結果として、『個人の生活の質や家族生活の幸福度よりも、経済的効率や労働優先といった旧来の価値観が染み込んでいて、こうした旧来の価値観が変わらない限り、やはり自分たちの未来に不安を抱えざるを得ない。/こうした状況を変えていかなければ安心して子供を産んで育てようという気持ちには到底ならないと思います』と、韓国の現状を結んでいる。

 

 そして、記事は日本の現状にも論を広げている。

 『韓国では、男性の育児休暇が広がるなど一定の効果もあったが、「産めよ増やせよ」といった掛け声では若者の意識を変えることはできなかった。予算をつければ少子化が止まるということでもないと言える。10年後、20年後の未来に希望がもてない。仕事か家庭かどちらかを犠牲にしなくてはならない。こうした生きづらさは、日本でも同じ。仕事と家庭生活が両立できる社会、将来に希望をもてる社会にしていくことが、何より求められているのではないか。少子化を食い止めることができなかった韓国の経験を他山の石として、日本政府には実効性のある少子化対策を打ち出してもらいたい』

 

 韓国ほどではないにしても、日本も世界に類を見ない速さで少子化が進んでいるのは事実である。今後取る日本の政策が「他山の石」にならないことを祈るばかりである。

 

日本の人口12年連続減少。その数75万人!!

 一昨日、様々なマスメディアから、日本の人口が12年連続減少したことが伝えられていた。

   総務省が発表した2022年10月1日の人口推計は、日本の総人口は、1億2,494万7千人で、前年に比べ55.6万人(-0.44%)減少し、12年連続の減少となっている。これは外国人人口も入れた数字で、日本人のみで見ると、なんと前年に比べ75万人(-0.61%)の減少である。外国人人口が19.1万人の増加で、2年ぶりに社会増加したことにより総人口でみると減少数は若干小さくなるものの、日本人のみの減少数は驚くべきものである。

 日本全国の都道府県の人口(2022年)を見た時、最も少ないのは鳥取県の58万3000人、ついで島根県69万4000人、高知県72万8000人、徳島県75万5000人と続く。75万人減という数字は、このいずれかの県の人口がまるごと消滅する数なのである。

 

 「人口減」の問題については、4/3、3/4、3/1、11/16、10/6にこのブログで取り上げ問題の深刻さを書いた。これに伴う「少子化対策」については、1/26、1/14、1/9、1/7、1/6の回に書いた。

 

 政府は、人口減少の根本課題である「少子化対策」について試案を発表した。その内容は、

○出産一時金の引上げ(42万円から50万円)

児童扶養手当の対象に高校生を加え、所得制限は撤廃
○育休中の給付率を現行の67%(手取りで8割に相当)から8割程度(手取りで10割)に引上げ
○低所得世帯向けの給付型奨学金の対象を拡大

 

 政府が発表した「異次元の少子化対策」の思案がこれである。①経済的支援の強化②保育サービスの拡充③働き方改革と3つの柱に分け、少子化対策に取り組むとのこと。

 

 我が国日本の人口減少のスピードはとてつもなく速いスピードで進んでいる。そしてそのことにより様々な懸念が生じている。2040年には国内自治体の半数が消滅すると予測され、2100年には人口が現在の約半分まで減るとの予測もある。

 2020年  女性の半数が50歳超え

 2024年  3人に1人が65歳以上の高齢者

 2033年  全国の住宅の3分の1が空き家

 2040年  自治体の半数が消滅

 2100,年  日本の人口は5971万人

 

 今、様々に国の政治でこのことが論議されている。しかし、その結果として示された試案が前述の4つである。しかも肝心の財源が曖昧で、新たな税負担も生じるようである。

 

 これを見た時、何もかもピントがずれているとしか言いようがないと感じた。少子化を食い止め、人口減少をストップさせるというのが、ミッションのはずである。

 いかにして出生数を増やすか。このためには「子供が多い方が有利だよね」と、子供を産み増やそうとするモチベーションを如何に上げるかが重要になるはずである。いないよりは一人でもいたほうが、更には1人よりは2人の方が、そして2人よりは3人の方がもっと有利になるよねと、子供が増えることが生活に有利になる仕組みが最善の策と思うのだが。

 今回政府が出した思案は、少子化対策ではなく、子育て支援策である。「子育てがしやすくなったね」では、更に子供を産み育てようという意識の醸成は限定的だと感じる。1月6日のブログで書いた「税制のn分n乗方式」はなぜ採用されになったのだろうか。どれだけの議論が行われたのかもなかなか伝わってこない。現にフランスでは一定の効果が証明されているにも拘らず。

 

 昨日のYahooニュースで、『韓国の「人口減少」がいよいよ加速…「膨大なおカネ」をつぎこんでも、少子化が止まらない「根本的な理由」』のタイトルで、ショッキングなニュースが配信されていた。

 韓国のベビーブームは朝鮮戦争が終わってすぐ始まり、10年近くも続いたという。1955年から1959年の出生率は6.3であり、かなり落ち着いた1970年でさえ4.53もあった。日本のベビーブーム(1947年から1949年)の出生率が4.32であったことを考えると、韓国の出生率が、昔は高水準でかつこれが長期間続いたことがわかる。

  そのような中、韓国政府は1961年から出生抑制政策を行ったとのこと。これにより出生率は1970年代、1980年代にかけて急速に落ち込み、1983年には人口置き換え水準である2.08を下回った。しかしながら、韓国政府は、出生抑制政策の強度を、1960年代から1970年代、1980年代にかけて高めていった。 更に1984年は2.05であった出生率を1995年までに1.75まで引き下げるとの目標を設定した。この結果1985年には出生率は1.55にまで落ち込み、さすがに韓国政府も出生抑制政策を弱める方向に舵を切ったが、政策が廃止されたのは1996年まで待たなければならなかったようである。

 その後、韓国では1997年に通貨危機に見舞われ、経済・社会構造が大きく変化した。これまで出生抑制に注力していた韓国政府が、政策を180度転換して、出生率を高めるための政策を行うことになったという。その後は、タイトルにあるような「膨大なお金」を使っての出生率向上の政策が行われた。しかし、結果は、財政規模を増やすほど出生率が低下するといった皮肉なものとなったとある。

 

 日本はどこに向かおうとしているのか。人口が減り続ければ様々な問題が発生することは誰もが分かっているはずである。「経済規模の縮小」「労働力不足」「我が国の投資先としての魅力低下による国際競争力の低下」「社会保障制度の給付と負担のバランスの崩壊」「財政の危機」「基礎的自治体の担い手の減少に伴う社会的・無経済的課題の深刻化」。まさに国が萎んでいくかのような未来予測である。

 

   しかし、どうも我が国の未来予測は雲行きが怪しくなっているとしか思えない。

 

 増え続けていくであろう税負担に苦しみ続けていくのではなく、我が身をどう守っていくのか、このことに真剣に、早急に向き合うことが今ほど求められている時はないように思う。

 

坂東真理子著『70歳のたしなみ』

 先日、坂東真理子著『70歳のたしなみ』を読み終えた。  

 70歳はまだまだ先の年齢だが、先人の方々が書いた人生訓の類の本を読むのは結構好きである。もちろん誰の本でもよいというわけではないが、長い人生の歩みの中で、導きたどり着いた境地の言葉から学ぶことは多い。

 

 今回読んだ本の著者坂東真理子氏には、ずっと以前にお会いしたことがある。オーストラリアのブリスベン市に研修で訪れた際、領事館に表敬訪問をする機会を得た。この時の総領事が坂東氏だったのである。日本初の総領事として当時話題になっていた。鮮やかなブルーのスーツ姿で我々の前に現れ、にこやかな表情でご挨拶をいただいたことを覚えている。内閣府を退官された後、大学の理事長や総代を務める傍ら、著書も多数出版されており、特に『女性の品格』は330万部を超える大ベストセラーになっている。

 

 さて、このような(私にとっての)ご縁から、「坂東真理子」の名前が背表紙にあればつい手が伸びてしまう。今回手にしたこの本は、70歳を超えた氏が今の想いを書き留めた内容になっている。背表紙の裏に『「人生で最も幸福なのはいつ頃か」と問われたら、現代では70代ではないだろうか。その貴重な黄金時代を、人生70年時代の先入観のまま晩年として生きるのはあまりにももったいない。人生100年時代をポジティブに生きるヒントは「たしなみ」にある。』とある。

 そして、『70代というのは新しいゴールデンエイジ…人生の黄金時代である』という書き出しで本編は始まる。以降は、小気味よく、そして含蓄ある言葉が続く。気になった文に付箋を張りつつ読み進めた。

○多くの70代は、長い人生の中で自分なりにとても耐え難いと思う厳しい状況や悲しい出来事も何とか乗り越えてきたはずである。あれをしなければよかった、ここの選択が間違っていた、などと取り返しのつかない過去の失敗もある。しかしそれをくよくよ後悔し続けるより、「今ではいい経験になっている」と思うようにしよう。辛いこと悲しいことがあったのになんとか今まで生きてきたのだと、自分を労ってあげよう。「過ぎたことはみんないい思い出」になる。自分だけたくさんの苦労をしてついていないと思わないで、あの苦労や失敗があるから今日の自分があるのだと考える。理不尽な人生に押しつぶされなかったのは自分への勲章である。

○3000万円蓄えがあれば中流老人、1000万円以下では下流老人という線引きではない。私の定義では、中流かどうかはその人のメンタルセット、どういう価値観を持ち、どういう生活態度を持っているかで決まるのだと思っている。人間としてのたしなみのなさが、下流老人をつくる。

 ハッとさせられる文章も多い。

○自分が他人に迷惑さえかけなければ何をしてもいいのだ、「自分らしく」何もせず他人の世話もせず仕事もせず好き勝手に生きるのが高齢者の特権だ、と思うのはやめよう。年金も医療費も自分たちが納めた金額以上の税金によって支えられているのだ。少しでも社会の役に立ちたいと行動する高齢者が増えるのか、もっと高齢者を大事にしろ、手厚い給付を行うべきだと要求する高齢者が増えるかで、高齢社会の風景は変わってくる。

 

 そして終盤では、70代の坂東氏も更にその先を生きる人たちから学ぶ言葉が続く。

○どのように人生の後半期を過ごすかの手本はない。しかしお手本にしたい人は一人、二人ではなくたくさんいらっしゃる。その中から自分で新しい生き方を作り出していく。それが私にとって人生の新しい目標である。

 

 あとがきで次のように述べている。

『わたし達が今行うべきは終活ではなく、老活あるいは老前準備です。十分働いてきたのだから、社会はもっと高齢者を大切にすべきだと要求するより、自分たちは社会や若い世代に何ができるか、考えなければならないのではないかと思います。それは大それたことではなく、まずは普段の生活の中に「美しい」「面白い」「素敵だな」と思うことを見つけ感動する、上機嫌で過ごすようにする、今まで生きてこられたこと、支えてくれた人たちに感謝するといったことです。こうした心がけこそ高齢者のたしなみです。』

 

 ここに書き出したのは、ほんの一部の言葉である。

果たして自分が70歳になった時、同じことが言えるだろうかと考えさせられた。70歳になったから突然思いついたのではない。長い時間の経過の中で、その一瞬一瞬の経験の積み重ねの中で、誠実に事に向き合ってきたからではの言葉なのだろうと思う。

 

 「たしなみ」という言葉を辞書で引くと、『普段の心がけ』とある。新明解国語辞典では、『人前で、でしゃばったり失敗しないように、日頃の言動に気を配ること』とある。

辞書で見ただけでは、この言葉の持つ奥行きや深さは感じられない。

 

 今の自分の年齢での「たしなみ」とは何か、このことを常に意識しながら日々過ごしていきたいと思う。

 

 

 

断捨離とメルカリ

 私物の断捨離を行う。今回は本が中心。

 本がだんだんと増えてく風景を見るのが楽しくて、以前から読み終えた本は書棚に並べていくことが習慣化している。読んだ本(雑誌は除く)は基本捨てないというのが自分のスタイル。しかし、長い時間の経過の中で、かなりの数の本が、部屋の四方の壁に並らべた本棚に収まりきらないという状況になってきた。

 長い時間の中で習慣化したスタイルを変えることに、踏ん切りがつかなかったが、生活スタイルやライフワークが大きく変わった今が、その機会だと思い断捨離を決行した。図書館に並んでいるような文芸物、書かれてあることが古い情報になったもの、今後読むことはないと思われる専門書等々、いくつかの基準を基に廃棄する本を選んでいった。

 ただ、やはり大切にしていたものである。資源ゴミとしての廃棄であるが、何某かの切なさも出てくる。そこで、破棄するのではなく、必要とする人に繋ぐという意味合いで「メルカリ」に出すことにした。

 これまでも単発ではあるが数回利用したことがある。今回の断捨離に合わせて、書籍の他、使うことのなくなったかつての愛用品、「いつかは使うだろう」と部屋の片隅で埃を被っていたものなど結構な数を出品した。

 

 手続きの手順は、「出品」と表示されているアイコンをクリックしてスタート。先ず、商品の写真を撮る。その後、商品の詳細を入力していく。その後、「発送方法」を商品の大きさや重さから選んでいく。最後に売却価格を決定して手続きは終了である。初めての場合は、多少戸惑うこともあるかもしれないが慣れれば至ってシンプルな手続き手順である。

 使いながら「よくできているなぁ」とつくづく感心させられる。特に、決済方法と発送システムは見事というしかない。発送の仕方も多岐にわたり、売り手と買い手の個人情報を交換すると来なく完了することができる。よく考えつくものである。

 

 このシステムを開発し商品化した「メルカリ」という企業について、よく知らなかったので調べてみた。

【株式会社メルカリ】

 設立 2013年2月1日

 資本金 44,628 百万円[2022年6月末時点] 

 事業内容 フリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運用

 所在地 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー

 

 沿革を見てみた。

 2013年 メルカリの前身である株式会社コウゾウ設立。

 フリマアプリ「メルカリ」Android版配信・サービス開始。

 フリマアプリ「メルカリ」iPhone版配信開始。

  株式会社メルカリに商号変更(11/1)。

 2014年 米国子会社を設立。

 2018年 東証マザース市場に上場。

 2019年 子会社のメルペイが、非接触型決済サービス・メルペイを開始。

      日本製鐵保有しているサッカーJリーグチーム「鹿島アントラーズ」の株式を取                      得、同年8月30日に子会社化すると発表した。

    2022年  東証プライム市場に変更。同年4月に実施された東証市場再編以降で上場区分を変        更するのは本企業が初めてとなる。

 

 ちなみに,先週末の株価は2273円となっている。2021年末には7070円の根をつけていたが、2022年中頃からは3000円前後の値を上下している。

 

 さて、メルカリの今後である。直近のニュースでメルカリの中国進出が取り上げられていた。

 タイトルは、『フリマアプリ「メルカリ」、中国越境販売拡大に向けて新規越境EC事業者4社との連携を実施』とある。

 概略は以下のとおり。

 経済産業省の調査によると、2019年の世界の越境EC市場規模は7,800億USドルと推計され、2026年には4兆8,200億USドル(年平均成長率約30%)にまで伸長するなど、市場の大幅な拡大が予測されている。
 メルカリは、中期的な経営戦略としてさらなるグローバル展開に力を入れており、2019年から越境販売を開始し、国内だけでなく海外を含めた循環型社会の実現を推進している。2023年2月新たに越境EC事業者拡大後、利用者数は約2.8倍、取引数は3.2倍になるなど、越境EC領域は堅調に推移。また、開始時から2022年までの越境販売にかかるGMVは着実に成長し、提携効果によって、2023年以降はさらなる成長を見込んでいる。

 

 さて、今後のメルカリの成長性はどうなるのであろうか。類似したアプリは増加傾向にある。この中でいかに独自性と差別化を図っていくか。今後の展開から目が離せない。

 

 最後に一言。

 最近、メルカリを利用していく中で感じている不満は、「大きいが重くはないもの」の送料である。大きく重ければ料金が増すのは理解できるのだが、かさばるが重くはないものの料金はもう少し安くできないのかといつも感じている。

 ここが解消されればまだまだ利用者数や売上は伸びると思うのだが‥‥。