先日、韓国ドラマ『夫婦の世界(全32話)』を見終えた。凄まじいストーリー展開と出演者たちの迫真の演技は、見る者を飽きさせず、毎回画面に釘付けとなってしまった。
『たった1本の髪の毛からすべての幸せが崩れ落ちていく。完璧だった夫婦に何が起こったのか?真実を知った妻の壮絶な復讐劇の幕が開く。スリルと緊張感あふれる愛憎ラブロマンスの傑作!』と配信先のホームページには番組概要が記されている。韓国での最高視聴率28.3%は、非地上波チャンネル歴代最高視聴率1位になったとのこと。主演のキム・ヒエとパク・ヘジュンが演じる夫婦の愛憎の展開は見応え十分で引き込まれていくこと請け合いである。
どんな思考をしていたらこんなストーリーが頭に浮かぶのだろうかとつくづく感心させられた。
韓流ものはそれほど好んでみるということもなく、日本で大ブームになった「冬のソナタ」も全くみておらず、内容さえも知らない。意識にはっきりあるのは「パラサイト 半地下の家族」が最初だろうか。2020年の上映だからつい最近になる。その後「マイ・ディア・ミスター」で韓国ドラマの面白さを知り、そして今回の「夫婦の世界」へとつながる。その間、映画配信サイトで時々韓国映画を見ていたという程度である。
そもそも『韓流』という言葉の意味もよくわかっていない。そこで調べてみたら次のように書いてある。『東アジアに起こった韓国大衆文化の流行をいう。日本では、平成14(2002)に制作された韓国のテレビドラマ「冬のソナタ」の放映がきっかけとなった。ドラマに限らず、映画・音楽・アイドル・料理など、さまざまな方面で流行が見られる』とある。
今から20年ほど前に日本でのブームが始まったことになる。その間の流れを見ると、常に人気を維持していたということではないようである。2004年頃の『冬のソナタ』ブームに始まり、「韓流」という言葉も定着していったようである。そして『冬のソナタ』の成功に影響を受けた各種メディアが、韓流がビジネスとして積極的に展開してブームを加熱させていくことになる。以降は、政治的背景などにより人気が低迷するなどの時期があったが、2015年頃からの韓国若者文化を代表する「整形手術」「2NEギャルファッション」「オルチャンメイク」などの韓国文化が日本の若者のライフスタイルに定着していったことにより「韓国文化を自身の日常生活の中に取り入れ始める若者が出てきている」として再びブームが起こり、新韓流(2015年頃 - 2017年頃)と呼ばれる時期を迎えた。そして現在は、第4次韓流ブームといわれており、2020年に公開されアカデミー賞受賞作品となった映画「パラサイト半地下の家族」は興行収入45億円は日本で公開された韓国映画の記録を塗り替えた。同年にNetflixで配信されたドラマ「「愛の不時着」と「梨泰院クラス」がヒットし、2020年の流行語大賞に「第四次韓流ブーム」がノミネートされている。
韓国の映画やドラマを見つつ、自分の韓国に対してもっているイメージは実際とは大きく異なっていることを痛感させられることも多い。お隣の国ながら、まだ一度も韓国に行ったことがないことも大きく影響しているのだと思う。街並みの美しさや洗練された建築物。今回のドラマでは車のシーンが多かったのだが、車のデザイン性の高さにも驚かされた。映画の内容に大きく左右される部分があるので、それが全てではないと思うが、ある一面としての現実でもある。平均所得では、ずっと以前に韓国は日本を追い越しているのである。昭和の世代である自分の意識をリセットしなければと考えさせられてしまう。
ところで冒頭書いたドラマ『夫婦の世界』は、日本でリメイク版が放送されているようである。稲森いずみ主演による『夫婦が壊れるとき』という番組。先日、2次会でのお酒の場でこの話題になった。韓国と日本のドラマの話だったのだが、お互いが話すストーリーが酷似しており、どちらかがリメイク版だろうという結論になった。韓国ドラマは面白い。しかし見終えるまでの時間のトータルを考えると『ハマる』ことへの恐怖心もある。ここのところの気持ちの折り合いをどうつけるかが肝だとつくづく思うのである。