Yahooニュースに、「こういうことが起きているのか‥‥」と、考えさせられたニュースが載っていた。読売新聞からの発信である。
見出しには、『コロナ感染者の葬儀、上乗せ費用に困惑…「防護服」で特別料金・消毒費・専用霊きゅう車 』とある。
記事では、新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の葬儀に関する相談が後を絶たず、国民生活センターには、この2年半で約250件が寄せられ、多くが「消毒費」や「専用の霊きゅう車代」などとして、費用を上乗せする葬儀業者を指摘する声があると伝えている。
厚生労働省は「納体袋に収容すれば特別な対策は不要」と、以下の4つの指針を出し呼びかけるが、なかなか改善はみられないとのこと。
① 遺体には飛沫感染の恐れはなく、納体袋に適切に収容されていればリスクは極めて低いため、特別な対策は不要。
② 100度を超える温度でウイルスは死滅するため、納骨から感染することはなく、収骨時の対策は不要。
③ コロナ患者とそれ以外の火葬時間を分ける必要はない。
④ 遺体の顔の部分が透明な納体袋を使って顔が見えるようにするなど、遺族に最大限寄り添った対応を。
今回示された事案では、相談者は「妻と最後のお別れすら満足にできなかった」と語っており、具体的な費用として「新型コロナ感染ご遺体搬送料33万円」が請求されている。総額で約65万円。通夜や告別式を行わない「直葬」の相場は20万~30万円とされるが、2~3倍かかっている。
今回の事案の、亡くなってからのことが時系列で示されている。
・妻は8月に体調を崩して入院した際にコロナ陽性が判明し、5日後に老衰で死亡。
・葬儀業者に連絡すると「専用車で運ぶ。即日火葬する」との説明。
・火葬は一般向けが終わった午後6時以降に実施。
・火葬業者は防護服姿で危険物を扱っているように見え、「最後に顔を見たい」と求めたがかなわず、長男夫婦、長女とで拾骨した。
・男性は「これほど費用をかけた対策が必要なほど、遺体は感染リスクが高いのか」と疑問を投げかけるが、業者は取材に「答えられない」と話した。
国民生活センターへのコロナ患者の葬儀に関する相談の内容として、「防護服名目で特別料金を取られた」、「数人の参列者なのに『3密』対策を理由に割高な広い会場を勧められた」など、費用上乗せに関する内容が多いとのこと。
厚生労働省は複数回周知しているが、「コロナ1年目のやり方をずるずる踏襲し、約30万円の上乗せを続けている」と明かす業者もあるとのこと。これらの背景として「直葬が多いコロナ患者は、業者にとって利益が少なく、消毒費などをつり上げている恐れがある」と記事は指摘している。
記事の最後は、『パンデミックで過剰とも言える対応を防ぐには、医療界だけでなく葬儀業界も含めて感染症の知見の共有が不可欠。気軽に情報が得られるサイトの設置や企業内のウェブ講習など環境整備が必要だ」と指摘する。』で結ばれている。
最近、連日感染者数を伝える報道を見るようになった。コロナ1 年目とは大きく状況が変わっている。経験の中で学んだ知識も蓄積され、またウイルス自体も弱毒化している。しかし意識の変化が追いつかず、過剰な反応が今も続いているように思う。今回の葬儀に関する事案もその一つ。マスクの着用も諸外国とは大きく異なる状況が続いている。
日本人の意識の鎖国性を感じてしまう。島国である我が国日本。しかし、1990年頃から発達し始めた情報ネットワークで、現在は世界中が結ばれ、リアルタイムで一人一人が世界とつながることが可能な社会になっている。
50年後、100年後の日本を危惧するデータも様々に発信されている。人口が減り続けていく日本は、今後、益々世界との融合が図られていくことが不可欠になっていくと思う。そのためにも価値判断や行動基準の中に、『世界基準』という発想が求められているように感じる。
コロナが日本人の精神性を炙り出したように思うのは私だけであろうか‥‥。