ファンディの日々雑感。

日々の生活の中で感じたことを諸々書き綴っています!!

県内で一番人口の少ない自治体が出生率トップという事実!!

 地元ローカル紙で大変興味深く、また素晴らしさを感じる記事を見つけた。

 『高卒まで計570万円支給 支援充実』のタイトル。

 記事は、高校生の質問に答える形でまとめられている。質問は、「西米良村は県内で一番人口が少ない自治体なのに、出生率はトップ。この理由を知りたい」という内容。

 

 西米良村は、県中西部、九州山地の麓に位置しており、面積の96%を森林が占めている山村である。村の総人口は2023年6月1日現在938人。

 記事によれば、西米良村出生率は、2021年の調査で県内トップの11.176人。出生率とは、「人口千人に対する出生数の割合」のこと。1年間の出生数を人口総数で割って算出する。一人の女性が、生涯に産む子供の数を推定する合計特殊出生率とは異なる。西米良村出生率は、ここ数十年4人〜12人生まれており一過性の現象ではないとのこと。この出生率の高さを維持しているものが、タイトルにもあった「子育て支援」の充実。

 

 西米良村子育て支援事業を調べてみた。県内自治体の中で郡を抜く数の多さである。

保育料控除

 利用者負担額及び給食費は、利用子ども及び保護者が村内に住所を有し、かつ、村内に居住する場合には、全額を控除。

 

高等学校就学支援

 村内に住所を有し、高等学校等に通う生徒一人につき、月額3万円を支給する。自宅から通学している生徒においては、月額3万円を上限とする交通費を支給。

 

遠距離通学費補助

 通学距離が4kmを超える通学者に対する補助。バス通学の場合は全額補助、保護者による 自動車送迎についても距離に応じて補助。

 

給食費の助成

 村内の学校に在学する長子(長子は半額)を除く第2子以降の給食費を全額補助。

 

奨学資金(菊池奨学資金)

 村の奨学金制度で、高校等に進学する者に、5 年間を限度に年額36万円を無利子で貸し付け卒業後の就職により居住する場合等は返済が免除。

 

副教材購入補助

 村内小学校、中学校の全児童生徒を対象に、保護者負担のあった副教材費について、小学校児童1人あたり 8,000円、中学校生徒1人あたり22,000円を上限に村にて負担。

 

修学旅行費用助成

・小学校:上限55,000円/人(東京方面)

・中学校:上限95,000円/人(岩手県)

 

安心出産助成

 出産予定日の1ヶ月前に村の住基台帳に登録及び居住している妊婦に対して、出産直後に必要な育児に関する物品を出産予定児1人につき1セット支給。

 

妊婦健診助成

 西米良村住民基本台帳に登録されている妊婦に対して、受診券14枚を交付し助成。また、現に居住している妊婦については、 受診券以外の妊婦健診についても助成。

 

子育て支援

 未就学児、保護者ともに西米良村の住民基本 台帳に記載され、かつ、居住している未就学児を養育している保護者に対して、1世帯あたり 8,000円×月分の商品券を交付。村内の商店街等で生活必需品の購入時に2割を限度に使用可能。

 

医療福祉職育成奨学資金

 医療、福祉の資格取得を目指す者で、高校、大学などに通う者のうち、卒業後に村内での就労を目指す者に対して、村出身者年間72万円、それ以外年間36万円。最長4年間利用可。

卒業後3年間就労で返済免除。

 

中学生学力向上支援事業

 中学生を対象に、週1回(中学3年生は週2 回)、オンラインの塾を実施。講師は東大生に依頼。夏休み期間中は別途、学力向上セミナーを実施。

 

自宅学習用タブレット端末整備

 村所小学校、西米良中学校の全児童生徒を対象にタブレット端末1人2台を貸与。

 

定住促進住宅

 移住者、移住子育て世帯を対象とし、子育て世帯支援として、中学生以下の子ども一人につき5,000円を家賃額から減額。

 

宮崎交通バス利用(友の会補助金交付時業)

 村所線を利用する際に村所駅で乗車券を購入した場合、高校生の帰省の場合は全額補助

 

 人口はたったの938人の小さな村。当然高齢者の比率も高いはずである。少ない村の予算の中から、これだけの事業を展開している事実に驚いてしまう。

 

 記事の結びでは、『村は移住者の呼び込みに力を入れる方針で、「安心して出産や育児ができる環境を整え、人口減対策や移住につながれば‥‥」と役場の担当者のコメントを載せている。

 

 国は、「次元の異なる少子化対策」の法案策定に取り組んでいる。しかしその中身は、お粗末なもので、「少子化対策」ではなく「子育て支援」。こども手当の拡充とあるが、その財源は、結局社会保険料を当て込んでおり、その先にある負担感の増大が見え隠れしている。

 

 いっそのこと国が音頭を取るのをやめて、予算を各自治体に配分し、地域ニーズに合った「少子化対策」「子育て支援対策」を各自治体が展開した方が、よっぽど身のあるものが作れるのではないだろうかと思ってしまう。

 

 西米良村の取り組みとこれを進める覚悟は、過疎に悩む地方の小さな自治体もいろいろ参考になる部分も多いのではないだろうか。

 このことがひろく伝わって行くことを願いたい。