ファンディの日々雑感。

日々の生活の中で感じたことを諸々書き綴っています!!

復刻版『日本列島改造論』を読む。圧倒的構想力と実行力!!

   12月8日にYouTube田中真紀子氏の緊急会見の様子が配信された。タイトルは『今こそ政治改革〜政治とカネ』となっている。

 その冒頭で、真紀子氏の父、故田中角栄氏が51年前に書いた『日本列島改造論』の復刻版が出版されたとその紹介から始まったのである。

 もう数年前になるのだろうか、田中角栄氏に関する書籍が相次いで出版され、ブームのような感じの時があった。その中の数冊を読んだのだが、ことの善悪は別にして、田中角栄という政治家のスケールの大きさや人間的な魅力を感じさせられたことを思い出す。

 その角栄氏が書いた、「日本列島改造論」の復刻版。当時も91万部のベストセラーになったのだが、今回の復刻版もものすごい勢いで売れているようである。Amazonで調べてみたら売れ筋ランキングが上位である。そしてその評価がひじょうに高く、レビューも賞賛する声が多数寄せられている。

 こうなるともう読まないと気が済まない性格である。早速注文し、届いたその日に一気に読んだ。この本は昭和47年(1972年)に書かれたものである。1955年から1973年まで続いた高度経済成長期。年平均で10%もの成長が続いていた日本ではあるが、様々な歪みも生じ始めていた。そんな時に、氏は、都市の過密と地方の過疎の同時解消を目指し、国土の均衡ある発展計画をこの本の中で唱えている。昭和47年は、まだ社会インフラも整ってはおらず、公害問題も深刻な問題になっていた時代である。全国の下水道普及率はまだ17%、新卒初任給全国平均が大卒4万8千円の時代。パソコンなど当然なく、一般家庭に電話が普及したのが1980年代と言われているので、一般家庭にまだほとんど電話がなかった時代になる。

 田中角栄という人物の「先見の明」の凄さに終始圧倒されつつ読み続けた。大蔵官僚に振り回されるのではなく、財源確保の方策を自ら発案し、法制化していく姿は、まさしく「コンピュータつきブルドーザー」の異名のとおりである。本の帯には、「構想力と実行力に学ぶ」とある。本の概要にも『「国土の均衡ある発展」を掲げ、1970年代の「日本のかたち」をどのように描いていくか、その処方箋を豊富なデータと具体的な政策を交えながら提言している。大都市と地方の格差解消、高まる環境問題への対処、デジタル化の推進など、現代にも共通する多くの古くて新しい課題にも向き合っている。』と書かれてある。

 とにかく田中角栄という人物の凄さをひしひしと感じさせられる。自らの国家観を実現させるためにどうすればいいのか。具体的な方法論も具体的に記されている。

 圧巻の論理展開。

 歴史に「if」はつきものだが、ここに記されている構想が実現されていたらどんな世の中になっていたのだろうと思わずにはいられない。

 令和の時代の日本の現状は、田中角栄が生きた時代とある意味で同じではないだろうか。今、日本は将来を大きく左右する時にあると思う。であれば、田中角栄が思い描いたように、中長期的なビジョンを見据えた国家観を示す政治家の登場を願ってやまない。

 少なくとも一国のトップリーダーを目指そうとする政治家は、我が国日本をどのような理想に導いていこうとしたいのかという国家観を自らの言葉で示し、国民の共感と納得の中でその地位を求めていってほしいと思う。

 支持率20%を切るような首相が国の政治を仕切っているのは国民にとって不幸以外の何ものでもない。

 

 ここまで書いて、何故か、学生の頃読んだ『龍馬がゆく』の中の最終章「龍馬暗殺」の部分を読み終えた時に感じた「絶望感」を思い出してしまった‥‥